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外国人労働者の介護受け入れで現場が抱える悩みと解決策

 

人手不足の介護業界で、外国人労働者の存在はとても貴重な存在です。

しかしながら、言葉や文化の違いで現場に摩擦が生じ、受け入れに悩む施設も少なくはありません。対策は施設ごとで異なってくるとは思いますが、この記事がなにかのヒントになればと思います。

 

 

目次

 

なぜ外国人介護士の受け入れが増えているのか

日本の介護業界は、慢性的な人材不足です。介護を受けたいけれど、人材不足のためにサービスを受けられない状況が続いています。

 

こうした背景から、近年は「技能実習制度」「特定技能1号・2号」「EPA(経済連携協定)」など複数の在留資格を通じた外国人介護士の受け入れが急増しています。施設によっては全スタッフの1〜2割を外国人が占めるケースも珍しくなくなっています。

 

・特定技能「介護」分野の在留者数:2024年時点で約3万人超(前年比約140%増)
・主な送り出し国:ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなど
・受け入れ施設の種別:特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなど多岐

 

国の制度整備も追い風となり、受け入れの裾野は着実に広がっています。一方で、「採用してからが本番」とも言えるほど、受け入れ後の運用課題に悩む施設が多いのも事実です。

 

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現場が直面する5つの悩みと課題

外国人労働者の介護受け入れにおいて、次のような悩みが聞かれます。

  • 言語・コミュニケーション
    日常の会話だけでなく、業務指示や利用者対応で日本語の壁に直面。頻繁に話す利用者との会話はなんとなく理解できるものの、専門用語・方言・敬語が特に難しい。

  • 文化・価値観のズレ
    時間感覚・礼儀作法・介護観など日本と異なる文化的背景による摩擦が起きやすい。

  • 日本人スタッフとの関係
    指導役の負担集中する。チームへの落とし込みができず、コミュニケーションも難しく、不満の蓄積など職場内の人間関係の悪化につながる場合もある。

  • 制度・書類の煩雑さ
    在留資格の更新、各種届出、登録支援機関との連携など事務負担が増大。

  • 定着・離職問題
    外国人労働者が生活環境への不安や孤立感から早期離職するケースが後を絶たない。

悩み①:言語・コミュニケーションの壁


最も多く挙げられるのが言語の課題です。

日常会話やゆっくりと話せば理解できる程度の日本語ができても、実際に働くとなると状況は変わります。

介護現場で使う専門用語や現場特有の言葉「移乗」「体位変換」「更衣介助」「排泄介助」「褥瘡」「清拭」「誤嚥」など普段は使用しない言葉も飛び交います。

また、認知症ケアや急変時の報告、家族への説明など、介護現場特有の表現や状況判断には高度な言語力が求められます。

特に転倒などの事故の発生や身体状況の急変などが発生した場合、初期対応を適切に行わないといけません。その状況判断と、一人で抱えこまずに周囲に助けを呼べるコミュニケーションが日頃から大切です。

また、施設ごとの独自ルールやその地域の方言も、外国人スタッフには理解しにくいポイントです。

 

悩み②:文化・価値観のギャップ

時間感覚の違いとしては、出勤時間が遅いなどが挙げられます。5分前行動は日本の常識ではありますが、世界には30分遅れるのが当たり前の価値観もあります。

礼儀作法の違いとしては、アジア諸国は価値観が近い国が多くありますが、お辞儀や目上の人への言葉遣いや態度などが齟齬を生む場合があります。

また、他国では介護は家族で行うことが当たり前だと考えることもあり、日本のように介護サービスを利用していることに疑問をもつ外国人労働者もいます。

宗教観や食文化も違うため、宗教上の祈りの時間、お肉を食べない(ハラールなど)などの制限がある場合があります。

 

悩み③:日本人スタッフとの摩擦

指導担当になった日本人スタッフへの負担集中は深刻な問題です。

現場のことを伝えるだけでなく、外国人労働者の面談や関係機関への調整業務が増えます。「教えることで自分の仕事が増える」「言葉が通じなくてストレスになる」という声が上がり、結果としてチーム全体の士気低下につながるケースがあります。

受け入れは「管理者だけの問題」ではなく、チーム全体で取り組む課題です。

悩み④:制度・書類の煩雑さ

在留資格の種別によって就労できる業務範囲や更新手続きが異なり、担当者が不慣れなまま対応することでミスや申請漏れのリスクが生じます。特定技能の場合は出入国在留管理庁への各種報告が義務付けられており、定期的な事務処理が必要です。

 

悩み⑤:早期離職・定着問題

日本での生活が想像と違った、人間関係がつらい、給与が期待と違うなど、さまざまな理由で外国人スタッフが早期離職するケースは多く見られます。

採用コストをかけて受け入れたにもかかわらず、数カ月で退職されてしまうと施設にとっても大きな損失です。

悩み別・具体的な解決策

コミュニケーション問題への対応

頻出する介護用語・緊急時フレーズを日本語+母国語で一覧化した「現場用語集」を作成し、いつでも参照できる環境を整えます。また、業務後の日本語勉強会やe-learningツールの導入補助など、継続的な学習環境を施設側で提供することも重要です。スマートフォンの翻訳アプリや音声通訳デバイスを緊急時・申し送り時のコミュニケーション補助として活用する施設も増えています。

 

文化的摩擦を減らすための取り組み

受け入れ前に文化理解研修を全スタッフ対象で実施することが重要です。「なぜ〇〇国出身のスタッフはこういう行動をとるのか」という背景を知るだけで、日本人スタッフの受け止め方が大きく変わります。外国人スタッフ側にも「日本の介護文化・接遇の考え方」を事前にしっかり説明し、双方向の理解促進を図ることが定着率向上につながります。

注意点として、「外国人だから仕方ない」という空気が生まれると日本人スタッフの不満が蓄積しやすくなります。文化の違いを理由に業務上の指導を避けることは逆効果であり、ルールは全員に公平に適用することがチームの信頼関係の基本です。

日本人スタッフの負担を軽減する仕組み

指導役になるスタッフにはメンター手当(OJT手当)を設ける施設が増えています。金銭的インセンティブに加え、「人を育てる経験」としてキャリアパスに位置づけることで、指導役としてのモチベーションを維持できます。また、「1人のスタッフに指導を集中させない」よう複数名でローテーションして関わる体制をつくることも有効です。

制度対応の効率化

在留資格関連の事務は、行政書士や登録支援機関に委託することを検討しましょう。特定技能の場合は支援計画の策定・実施が義務付けられており、専門家への依頼が現実的な選択肢です。自施設だけで抱え込まず、外部リソースをうまく活用することが管理者の重要な役割です。

定着率を上げる生活支援の充実

外国人スタッフが「日本で長く働きたい」と感じるかどうかは、仕事の充実感だけでなく生活環境の安心感にも大きく左右されます。住居の確保・銀行口座開設サポート・日本語での行政手続き支援など、生活面でのフォローが離職防止に直結します。

受け入れ成功のための3つのポイント

  • 「受け入れる覚悟」を組織全体で共有する
    管理者だけが熱心でも、現場スタッフが受け入れに消極的では機能しません。採用前から全スタッフを巻き込み、なぜ外国人労働者を迎えるのかを丁寧に説明することが出発点です。
  • 受け入れ後の「伴走支援」を設計する
    採用して終わりではなく、入職後3カ月・半年・1年の節目でフォローアップ面談を行い、課題を早期に把握・対処する仕組みをあらかじめ設けておきましょう。
  • 外部の支援リソースを積極的に活用する
    登録支援機関・行政書士・地域の国際交流協会・ハローワークの外国人雇用サービスなど、利用できる外部リソースは積極的に活用し、施設内の負担を分散させることが長続きの秘訣です。

まとめ

外国人介護士の受け入れは、人材不足対策として有効な手段として増加傾向にあります。しかし受け入れる側の現場では、受け入れ後の運用課題が多くみられます。

言語・文化・人間関係・制度の複雑さ・離職の5つが大きく分けて挙げられます。
コミュニケーション問題には多言語マニュアル・日本語学習支援・生成AIやGoogle翻訳などの翻訳ツールがが有効な場合があります。
日本人スタッフへの負担軽減にはメンター制度にすることで一部の人への負担軽減をすること、またメンターには手当をつけること、管理者との定期面談が有効的です。
離職率が高いところでは定着率向上のため、仕事環境と生活環境の両方を整えることが重要です。これは外国人介護士だけでなく、日本人に対してもそうですよね。

制度の対応は登録支援機関・専門家への委託で正確な情報を適した機関に繋ぐためにも対策として挙げられます。

 

外国人労働者の介護受け入れは「難しいからやらない」ではなく、「難しいからこそ準備を整えて取り組む」姿勢が施設の未来を左右します。まずは自施設の課題を棚卸しし、一つひとつ対策を積み上げていきましょう。

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